冬眠


夜中に寒くて目を覚ますと窓が開いていた。
どうやら寝惚けて開けたらしい。
寝ながら全裸になったり窓を開けてしまったり、しかも寒い時期にそう云う事をする自分が怖い。
いつか凍死するんじゃないだろうか。
しかしその寒さのお陰か「冬眠チケット」が当たる夢を見た。
指定の冬眠センターへ行くと3月末日まで冬眠させてくれるのだ。
僕の場合は新横浜で、ラーメン博物館裏のセンターへ行くと受付をしていたのは映画バーバレラの衣装を着た若いジェーン・フォンダだった。
健康診断や入浴を済ませたあと彼女に案内されて上のフロアーへ行くと、
其処はカプセルホテルの様な作りになっていて、
壁に掘られた穴蔵の様なブースに入るとハッチが閉じられて導眠ガスが出て来る。
寝台はウォーターベッドで水流マッサージャーも付いていて実に心地良かった。
眠っている間どんな夢を見たいかと云うオプションがあったので「宇宙遊泳」を頼んでおいたら、
眠りに落ちて直ぐ地球を足許に見ながら漂っている夢を見た。
宇宙服内の温度や空気も快適で、気持ち良く無重力を楽しんでいたのだが、
暫くして背中が痒くなった。冬はいつもこれだ。ふくらはぎも痒くなった。
しかし宇宙服だと直接身体を掻く事が出来なくて、広い宇宙空間で身体をひねりながらもぞもぞしているうちにパッと眼が覚めてしまった。あー、勿体ない。
もしまた同じ夢を見たら、今度のオプションは「海岸でハンモック」にしようと思う。