一期一会

何日も続いた雨の後なので、川は水かさを増していた。
茶色い水が大きくうねりながら流れていた。
橋の欄干にもたれて川面を観ていると、
猫が一匹やって来て、欄干の隙間から同じ様に川を見るのだった。
暫くすると僕を見上げて何か言いたげな顔をする。
そしてまた川を見る。
何度かそれを繰り返し、猫は何処かへ行ってしまった。
後ろ姿が寂しそうだった。
何か言ってやれば良かったと思った。